トップページ | アクション100 | 007 かばん作家 「micca」

アクション100case.007

 

かばん作家

micca

アクション100case.007は、名古屋や三河地方のクリエイターズマーケットなどで人気の、刈谷市にお住まいのかばん作家「micca」さんをご紹介します。


帆布でつくる一点もののかばん達

「micca」という屋号で10年前から、帆布でのかばんづくりをされているのは、刈谷市のお住まいの鈴木晶子さん(以下、晶子さん)。実は、ナルセコーポレーション敷地内にあるカフェ「conoca」でほぼ毎日カフェの料理をつくられている野村さんのお姉様で、その繋がりもあり、今回アトリエにお邪魔して、お話を伺う機会をいただきました。

晶子さんがつくるのは、主に帆布を使った鞄。丈夫で長持ちでずっと使ってもらえるから、と「帆布」をメイン素材にして、シンプルなものから数色を組み合わせたものまで、また大きさも多種多様です。表布の帆布は、決まった布屋さんから仕入れていますが、内布は晶子さんが ”ときめいた” 布をあちらこちらで仕入れて使用しているため、内側をのぞくと表布とは違う楽しみがあります。一つのデザインに対して、いくつかの色で作り、加えて、色の組み合わせや、ステッチの色、内布のデザインの違いなどで個性をもたせ、二つとして同じものはありません。

帆布かばん
帆布かばんたち

大きさや形、また布の組み合わせもさまざまなものがあります。カラフルなものからシンプルなものまで、幅広いラインナップ。

miccaのかばんは、冒頭にご紹介したクリエイターズマーケットでの出店で手に入るほか、オーダーメイドでも作っていただくことができます。「リクエストはどれだけでも!」とおっしゃるのですが、お客様のリクエストそのままでお渡ししたことは一度もないのだそう。晶子さんのこだわりは、同じものはつくらないこと。そして、かばん一つひとつのどこかに、遊び心をプラスすること。

「言われた通りのものはつくらないの。かくし芸をするのが面白いのよ!」と笑う晶子さん。「もちろん、細やかなご希望がある方などには事前にかくし芸の合意はとりますが、どこかにオリジナルを忍ばせることが楽しいし、それをきっかけにしたお客様との会話も面白いのです。」

帆布かばんを縫う

制作途中の、オーダーメイドのカメラバッグを見せていただきました。

依頼主のキャラクターや印象も考慮しながら、色を配置していく。この布を組み合わせている時が一番楽しくて、時を忘れるのだそう。カメラバックなので、ポケットは多め。内布にお花柄が可愛いものをチョイス。


お洋服が大好きだった子供時代

お母様が洋裁の先生をされていたため、子供の頃から洋服作りが身近で、ミシンの使い方も自然に覚えたという晶子さん。特に色の組み合わせを考えることが大好きで、「からし色のスカートに茶色のリボンをつけたりした」ことを今でもはっきりと覚えている。ストライプのシャツに柄物のスカートを組み合わせたりもして、当時からお洒落上級者だったようです。大人になってからも洋服を作ることは日常で、ミシンは暮らしの一部だったと言いいます。サルエルパンツやジャケットや小物など、ご家族のお洋服はもちろん、今でも頼まれると知人友人の方のお洋服もつくられるそう。

「これね、母の帯から作ったものなのよ」と見せてくださったのは、晶子さんのお鞄。

お母様が10代の頃に使っていた帯を使って、30年ほど前に作ったもので、生地自体は80年ほど前のものになります。

「生繭からつくられた絹を使っているから、全然痛まないの。鞄にした時につけた内布の方が先に痛んでしまうの。昔の絹は丈夫で良いものだった証拠よね。」

今では手に入らない生地や思い出の布のリメイクの醍醐味でしょう。確かに、80年前の帯とは思えないほど綺麗で、生地自体が生き生きとしているようでした。

80年前の生地を使ったかばん
繭から作られた絹を使ったかばん

今でも現役な30年前にリメイクしたお鞄。丁寧に使われていることもあると思いますが、とても80年前の帯とは思えぬほど、ほつれも破れもなく、素材の良さがうかがえます。そしてこの可愛らしい柄の帯を、当時10代後半だったお母様が使ってらしたのだと想像すると、なんだかタイムスリップしたようでほっこり。


「もの」の奥にある「コト」

テキスタイルのものづくりが大好きな晶子さんが作ったものを、東別院暮らしの朝市(https://higashi-asaichi.jp/higashi/ )で販売することになったのが、miccaのスタートでした。

屋号は、晶子さんのお名前の漢字が「日が3つ」であることから、三日(みっか)となり、ローマ字でmiccaに。ロゴはミシンで一筆書きで描けるものとして、3つの四角がつながるものにしました。

miccaのロゴ
miccaのロゴ

長方形を3つ合わせたマークのmiccaのロゴが、鞄のどこかにしのばせてある。

そうして最初の朝市で販売したトートバックたちが、その日に完売します。その時の光景は忘れられないと言います。

「お客様が思い思いにバックを手にとって、ファッションに合わせて、鏡を見て、ご友人に意見を聞いたり。あぁ。これでいこう!と思った瞬間でしたね。」

そしてその時のお客様がリピーターとなり、今でも毎回顔を見せてくださる方も多いのだそう。「以前買ってくださったトートバックを持ってきてくれてね。角がほつれて、持ち手が裂けていて、それらをまつり縫いして使っていました。とても気に入ってくださって、ボロボロになるまで使ってくださったみたい。それで、お店にいらっしゃって、好きなものを選んでもらって、それをご家族がお金を出し合って買ってくださってね。本当に泣きそうだったわ。」と嬉しそうに話す晶子さん。

2013年からスタートした東別院暮らしの朝市(当時は『東別院てづくり朝市』)は、これまで休まず出店しています。丈夫な帆布のトートバックは長持ちするので、当然、毎回足を運んでくださる方が毎回お買い物をされるわけではなく、その時のファッションや最近の近況報告など、たわいもない話をするのが楽しいそうです。

愛用のmiccaの鞄を見せてもらったり、お礼のお手紙や、鞄を描いた絵をもらうこともあるそうで、そんな様子をみたり、お話を聞いたりするのが、晶子さんの何よりの楽しみ。

トートバックを通じて繋がるご縁や輪を楽しまれておられます。

miccaのアトリエ
miccaの晶子さん

アトリエで気さくに話してくださる晶子さん。とてもエネルギッシュで、話していて楽しい。

現在は、「東別院暮らしの朝市」以外に、安城市内のクラフトフェア、徳川園でのクリエイターズマーケットをはじめとする愛知県内でのマーケットに出店しながら、オーダーメイドの鞄を受注しておられます。(出店情報は、最後に記載しているInstagramよりご覧ください)

「布たちを眺めているだけでワクワクするの。色の組み合わせを考えるのも楽しいし、できた作品をお客様が手にとってくださる様子も嬉しいし、それをきっかけに色々なお話をするのも楽しい。」と、終始はじけるような笑顔で話してくださる晶子さん。

『好き』を追い求めるエネルギーと、布や糸との出会い、繋がっていく縁を心から愛しておられるご様子で、話しているとこちらが元気になるひと時でした。

皆様も、ぜひmiccaのお鞄と共に、晶子さんとお会いしてみてください。きっと笑顔になりますよ!

miccaアトリエであんちゃんと晶子さん

アトリエにて、作品と、いつも一緒のわんちゃん「あんちゃん」と、晶子さんと。

(文・写真:松尾 絵美子)

 
かばん作家micca
 

かばん作家 micca(みっか)

 

 

Instagram
※出店情報はインスタグラム(@micca_sshk)をご覧ください。


《編集後記》

弊社スタッフ平岩のバッグは、miccaのオーダーメイドです。
チラリと見える赤の内布がアクセントで、2年半ほど愛用中。

miccaのオーダーメイドバッグ

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