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005

100周年の節目に
「山への恩返し」

アクション100  case.005は、ナルセコーポレーションが創立100周年を節目にスタートした「矢作川源流の保全活動」についてご紹介します。

 
創立100周年という節目に
 

ナルセコーポレーションは、1921年(大正10年)初代の成瀬徳治が安城の地に「成瀬組」を創業したことに始まります。建設資材の木材や石材の運搬業として第一歩を踏み出し、昭和、平成、令和と時代が移り行く中で、公共建設事業や土木事業、そして住宅を含めた民間建築事業など、地域の発展と共に実績を積み上げてまいりましたが、振り返ると、常に地域の皆様に支えていただいた100年でありました。
 
★ナルセコーポレーションの100年についてはこちらをご覧ください。→ ナルセコーポレーションの歩み
 
創立100年という節目の年をきっかけに、これからの地域貢献の形を考え、私たちは「100周年記念事業」のひとつとして、この後ご紹介する「矢作川源流の保全活動」を始めました。

初代 成瀬徳治

 
安城の地を守る
 

デンパークがあることでご存知の方も多いと思いますが、安城は「日本のデンマーク」と呼ばれるほど優良で先進的な農業地帯です。
 
明治時代より前のこの一帯は、安城ヶ原と呼ばれるやせ地で、水に恵まれず、農民同士で争いが起こることもしばしばあった地域でしたが、1889年(明治22年)に明治用水が開通したことを機に、めざましい発展を遂げ、日本有数の農業地帯へと発展しました。
 
安城の地を発展に導いた明治用水は、今もこの地を潤しており、安城の地は明治用水に活かされているといっても過言ではありません。
 
明治用水は矢作川から取水しており、その源流は長野県根羽村付近にあります。
 
私たちは、矢作川源流域の自然保全に取り組むことで、安城の地の保全に繋げたいと考えました。
 
 
そこで、取引先であった「西垣林業」さんへその旨を伝えたところ、「おいでん・さんそんセンター※1」さんを通じて「稲武 木の駅プロジェクト※2」に出会いました。
 

※1 おいでん・さんそんセンターは、人手不足による山林や農地の荒廃などの課題を抱える山村地域の集落と、社会貢献活動のフィールドを探す企業・団体とのコーディネートを行います。
 
※2 木の駅プロジェクトとは、2009年に岐阜県恵那市で始まったプロジェクトで、材にならず放置されてしまう間伐材を山主自身が切り出荷、地域通貨に換えて、森林保全を行うとともに地域活性化を図る取り組みです。そこから全国に広がりを見せ、愛知県豊田市でも実施されています。

 
「稲武 木の駅プロジェクト」は、地域の間伐材豊田市小田木町(稲武地区)の山林の間伐材を扱います。私たちは山主さんと協働して、伐採した間伐材を山から搬出し、貯木場まで運搬する作業や、その近くにある「タカドヤ湿地」の保全活動に携わることになりました。
 
タカドヤ湿地についてはコチラ

稲武 木の駅プロジェクトの本拠地

間伐材が寝かせられている山林

2020年12月―現地を視察しながら、山主さんに話を伺う。

2021年6月―タカドヤ湿地の下見を行う。写真の木々は紅葉で、紅葉シーズンには多くの観光客で賑わう場所だ。

タカドヤ湿地では、紅葉シーズン以外にも、四季折々の木々や草花を愉しむことができる。

美しい姿を残しながら、豊かな水を蓄える湿地帯。その姿を守りながら、素晴らしさを伝えるべく一般の方々に気軽に立ち寄っていただくためには、日頃の保全活動が大切であることを伺う。

 
地域保全活動「タカドヤ湿地の草刈り」
 

〈2021年7月〉

第一回目 タカドヤ湿地の草刈りを実施。
保全活動をされる現地の方々と協働して、散策路を中心に生態系に配慮しながら草を刈りこんでいきます。

湿地廻りの公道付近も草刈りをしてすっきり。定期的な手入れが、安心して過ごせる観光地の維持に繋がる。

草刈り機がはじめてのスタッフも、レクチャーを受けて草刈りに挑戦!

半日かけて整えられた散策路付近。

〈2021年10月〉

第二回目 タカドヤ湿地の草刈りを実施。
タカドヤ湿地に最も人が訪れる紅葉シーズンを前に、散策路や駐車場の草刈り・整備のお手伝い。

枝払いや伐採の様子も見せていただきました。

 
地域保全活動「間伐材の搬出・運搬」
 

人工林の維持には、間伐作業が欠かせません。こまめな間伐は、材木として出荷する木々を美しく育てると共に、土壌を健全に保つ下草の成長を助けます。間伐を行うと、それらを搬出する必要がありますが、山林での作業は機械や車が入りにくいところもあり、想像以上に労働力が必要になります。間伐材がお金にならない、山師の高齢化や労働力不足で、間伐や枝打ちがされず、荒廃する山林は数多くあるのです。
 
私たちができることは、間伐された木々を山から搬出し、木の駅プロジェクトの貯木場に運ぶ手助けをすることだと考え、ユニック車や軽トラックなどの機材と、スタッフの労働力をもって参加しています。


〈2021年7月〉

広葉樹原木の買い取り。
針葉樹の間伐材は木材チップとして売れるのですが、広葉樹はそうはいかず、貰い手のないのが現状。貯木場に山積みになっていた広葉樹の原木を、薪ストーブ用に買い取りました。

貯木場に放置されていた広葉樹原木。木の駅プロジェクトとしては売れ残っているのですが、私たちにとっては宝物。

〈2022年1月〉

豊田市小田木町内の人工林にて、間伐材の搬出、運搬作業を実施。
総勢11名で作業に当たりました。搬出した間伐材は200本ほどで、軽トラック2台を使って、山と貯木場を3往復。これを普段は1~2名で行っているそうで、その手間や苦労を肌身で実感しました。

長さ2mほどにカットされた間伐材を一か所に集めて山を作る。

一か所に集められた間伐材を、軽トラックに積み、貯木場へ運搬。

貯木場では、間伐材の径を測りチョークで記載していく。普段ナルセノイエで使う木々もこのようにして山から運び出され、卸されているのだと知る。

人力で手際よく進めていく。なかなかの重労働だ。

 
10年、そしてその先を見据えて
 

〈2022年6月〉

今年の本格的な夏が訪れる前にもまた、タカドヤ湿地の草刈りを行いました。作業の回数を重ねる毎に、迎えてくださる地域の方々との距離が近くなり、関係性が築けているように感じます。

地域の人とも打ち解けてきて、休憩中の楽しいひととき

現在、山や湿地の保全活動をされている地元の方は、60代後半〜70代後半が主。40代の方は1,2名ほどしかいらっしゃいません。10年後には、地域の労働力は7割減ると言われています。そうなってしまっては、矢作川源流地域の山が荒廃し、自然災害や水質悪化にも繋がるでしょう。人と共に暮らしてきた山は、人の手入れが必要なのです。
 
山の恩恵を受けている私たちができること。それは、スタッフや我々の住まい手さんと矢作川源流域との関係人口を増やし、自然の豊かさと地域を守ることの大切さを伝えながら、共に守り育てていくことだと思います。
 
地域の保全活動は、1〜2年行うだけでは意味がありません。私たちは、ナルセコーポレーション100周年記念事業の一貫として始めたこの活動を、まずは10年、続けていきます。湿地の草刈りと、間伐材を山から搬出し運搬する作業に携わることをベースに、コロナ禍で開催できていない地域のお祭りに参加したり、ナルセノイエの住まい手さんと一緒に薪割りをしに訪れたりしたいと考えています。
 
これを読んでくださっている興味のあるかたは、
次回の活動予定が下記にあります。
お問い合わせからも、お電話でも大丈夫ですので
ご連絡くださいね!


記事執筆時2022年7月(⽂:松尾 絵美⼦ 写真:ナルセコーポレーション)

100周年の節目に「山への恩返し」

 
<活動記録>
2020年12月 稲武視察
2021年  6月  タカドヤ湿地視察 活動内容の決定
2021年  7月  薪収集、買い取り
2021年  8月 タカドヤ湿地 第一回草刈り
2021年10月 タカドヤ湿地 第二回草刈り
2022年  1月 間伐材搬出、運搬
2022年  6月 タカドヤ湿地 第三回草刈り
2222年  7月 本記事執筆
 
 

<ここから記事執筆後の活動記録>

2022年  8月 タカドヤ湿地 第四回草刈り

2022年10月 タカドヤ湿地 第五回草刈り

2022年11月 タカドヤ湿地 「もみじまつり」のお手伝い

2022年12月 タカドヤ湿地 間伐のお手伝い

2023年  3月 間伐材の引きとり

2023年  6月 タカドヤ湿地 第六回草刈り
職人さんやスタッフ家族も加わり、少しづつ関係人口も増えだしました。

2023年  8月 タカドヤ湿地 第七回草刈り
草刈りだけでなく、訪れたかたが歩きやすいように歩道を整備するのも欠かせないことです。

2023年  10月 タカドヤ湿地 第八回草刈り
紅葉狩りを一足お先に堪能しながらの草刈り。
もみじまつり来場者さんの駐車場となるスペースを整備。もみじだけでなく、多様性のある植生が楽しめるのもタカドヤ湿地が人気である理由のひとつ。安全に歩けるように通路も整備しました。

2023年  11月5日(日) もみじまつり開催

 
 
2023年  12月10日(日) タカドヤ湿地整備 予定
2024年 2月、3月 間伐材の運搬お手伝い 予定
(参加してみたい方はお問い合わせから連絡ください)
(2023年10月現在)
 
 

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