トップページ | アクション100 | 014パンと焼き菓子のお店 パンリゴレ

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パンと焼き菓子のお店
『パン リゴレ』

アクション100 case.014は、岡崎市にある、パンと焼き菓子のお店「パン リゴレ」さんをご紹介します。


パン屋に転身
 

岡崎市郊外の住宅街にそっと佇む「パン リゴレ」さんは、季節の庭木や草花に彩られたトリコロールの外観が特徴。取材中も客足が止まることはなく、3台分の駐車スペースも基本的に埋まっていて、皆さんが交代で駐車しながらお買い物をする人気店です。
 
店主の中根未紗さん(以下、ミサさん)は、製造業の事務職をされていた頃通っていたパン教室が好きだったことや、元々美味しいものが大好きだったことから、一念発起して調理専門学校に通い、数箇所のパン屋で修行を重ねて2021年にパン リゴレをオープンしました。ミサさんは岡崎出身で、学生時代からのお友達が多く、苦労されたという修行中もお友達が支え、将来独立してパン屋を開くことを楽しみにしてくれていたそうで、それがとても心強かったと言います。
 
また、渡仏されていたお姉様に同行してフランスにいくことがあり、フランスの街や食べ物が気に入ったことも、パン屋に転身するきっかけのひとつになりました。その影響もあり、パン リゴレでは、アイアン製の看板や、ハーブや花々に囲まれた花壇や出窓など、フランス郊外のお店のような雰囲気を楽しむことができます。

帆布かばん

ミモザやユーカリ、ハーブ類、草花が包む外観。


帆布かばん

一軒家に遊びに来たような気持ちで扉を開けると、店内も暖かな雰囲気が広がっています。

アイアン看板や草花、ハーブ類など。

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店内に入ると、レジを挟んでふたつのショーケースに様々なパンが並んでいます。シンプルなハードパンやお食事パンから、調理パン、菓子パン、サンドウィッチ、焼き菓子と多種多様。
 
「家族や友人に安心して提供できるものを作っています。小麦粉はほぼ国産で、バケットは安城の製粉会社さんが、石臼で製粉してくれた愛知県産の小麦です。 小麦は地域や品種によって個性があるので、パンの種類によって使い分けるのですが、お野菜はできるだけ地元産のものを使いますし、私自身が美味しいものが好きなので、フィリングの旨みを味わっていただけるような工夫をしています」とミサさん。
帆布かばん
miccaのロゴ
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シンプルなお食事パンはレギュラーで、タルティーヌやデニッシュ、惣菜パンのフィリングは季節ごとに変わり、サンドウィッチは毎日のように具材が変わるそう。

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取材時に購入させていただいたナスのラザニア風タルティーヌ(左)と、トマトとチーズのデニッシュ(右)。
どちらも生地がさっぱりとした味わいなので、具材の旨みが引き立つ。お野菜を炒めてからトッピングして焼成しているため、お野菜の水分がしっかりキープされていてとてもジューシーなのが印象的でした。


「今日の楽しみ」のひとつになれたら
 

帆布かばん

中央は、店主のミサさん。右は開店当時から一緒に働く、ミサさんの高校時代からの親友のエリナさん。左は、東京から移住したアズミさん。

取材に伺ったのは、平日の昼下がり。絶え間ないお客様の来店に、明るい声が響き渡る。
 
「こんにちは!いつでも声をかけてくださいね!」
 
パン リゴレは、ショーケースにある希望のパンをスタッフに伝えて購入するタイプのパン屋で、お客様が店内にお越しになった際の第一声は「いらっしゃいませ」ではなく、「こんにちは!」これがこちらのお店の決まりです。

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お客様の様子を見ながら、声をかけるミサさんやアズミさん。
 
「あれ?今日はお休みなの?」
「今からお花見?」
「(お子様に予算を伝えて好きなパンを頼むスタイルのお客様に)今日は予算いくらなのかな?どれにする?」
 
等など、とにかく元気でサバサバした接客に、お客様も終始笑顔で、楽しげなお買い物タイムになっている様子。世間話も交えながらキャッチボールが続くのですが、お喋りに夢中になるわけでもなく、その間お買い物はスムーズに進んでいく様がおもしろい。
 
「パン屋は、ちょうどいいポジションなんですよ。みんな楽しそうな顔をしているけれど、それぞれ様々なことを抱えている。家族や友人、会社の人には言えない悩みや思いがあったりもする。それを少しでも吐き出せる場所になれたら、と思います。パンは、大体どのお店も美味しいです(笑)だから、パンを買いに行く、というよりは、このお店に行こう、と思ってもらいたい。家事育児、お仕事、学校、色々と大変だけど、『ここに寄るから、今日一日頑張ろう』と思ってもらえる存在になれたら本当に嬉しい」とミサさん。
 
底抜けに明るいスタッフ3人の応対ですが、街の人の拠り所となるための努力が影には存在していて、お客様のお名前や好み、お話しした内容をスタッフ間で共有したり、会話を楽しんでいただくための感覚の擦り合わせ、オーダー待ちの方を退屈させない工夫、疎外感や孤立感を感じさせないお声がけ、等など、毎日スタッフ間でミーティングを重ね、指導もしているのだと言います。
 
「こういうパンを焼きたいという思いや、この地域を発展させたい、という想いももちろんありますが、何より『街の人の心を軽く』できる存在になりたい。気軽に立ち寄って日々のことを話して、笑顔になれるお店。仲良くなると、みなさんたくさん話してくださるんですよ。話すことを楽しみに来てくださる方もいるので、その期待にお応えしたくてお聞きした情報はできるだけ覚えています。ここに来てくださる方の日々の一部になれたら嬉しいですね」
 
古くからの商店街にある、八百屋や魚屋のような存在になりたいとミサさんはおっしゃいます。このようなお店の存在が、街を守っていくのだろうと感じずにはいられません。
miccaのロゴ
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カウンターの奥が、パンの製造場所。キッチンからホールが見渡しやすく、声も聞こえやすい。基本はホールは1人で、混雑具合によりホールメンバーが増えていく。緊張感を与えない距離感がありつつも、状況によってはワイワイとコミュニケーションをとり、お店全体でお迎えされているような温かさがあります。


日々頑張っている人を応援したい
 

帆布かばん

パン リゴレの営業時間は10:00〜18:00。人気のパン屋は売り切れ次第終了というお店も少なくないですが、パン リゴレでは売り切れをできるだけ避けていると言います。
 
「パンは、基本的に1日を通して焼いています。何を焼くかは、売れ行きに応じてですが、夕方15時半、16時頃焼くものもあります。
仕事帰りにしか来れない方、子供たちを迎えに行った時にしか来れない方、皆さん色々な事情がある中で、このお店に来ていただいた時に、買えるパンがないというのは寂しすぎる。頑張っている人に喜んでもらいたいから、できる限り完売は避けたいのです」
 
在庫管理も大変だと思いますが、様々な工夫と努力でそれを実現しようと努めておられるところからも、ミサさんの想いと熱意が伝わります。
miccaのロゴ
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ショーケースの横にもパンが控えており、無くなっては補充を繰り返します。キッチンにはホールの様子を気にかけながらパン作りに勤しむミサさんの姿が。
 
 

※営業時間中の完売は避けるよう努めておりますが、売れ行きによって叶わないこともありますことをご了承ください


「楽しい」の連鎖
 

鹿児島出身で、パン リゴレで働くために東京から引っ越してきたと話してくださるアズミさん(左)と、来店すると真っ先に笑顔で迎えてくれるエリナさん(右)。

 
ホール担当のエリナさんは、ミサさんが修行中の頃、子育て真っ最中だったため、お互い苦労話をしたりして支え合ったそうで、ミサさんが独立開業する時に丁度子育てが落ち着いてきたこともあり、お手伝いをすることにしたのだと言います。
 
またキッチン担当のアズミさんは、ミサさん同様、前職は飲食関係ではなく、会社員時代に自宅で始めたパン作りが楽しくて、パン屋への転職を考えたのだそう。当時東京に住んでいたアズミさんは、好みのパン屋で修行した方のお店を何店舗か巡る中で、パン リゴレに出会います。
 
「この店に初めて訪れた時は緊張したのですが、帰り道に『楽しかったなぁ』とすっかりリラックスしていた自分に気づきました。『この感じ、いいなぁ』と実感したので、思い切って岡崎に引っ越してきました!」と笑うアズミさん。将来的には故郷の鹿児島でパン屋を開業し、パン リゴレのように、街の方が笑顔で帰っていくお店、また地元と関わり、地元の産業を盛り上げるお店にしたいと意気込みます。
 
その行動力や熱意に驚いていると、次のお客様が来店。今度は男性お一人です。
 
「こんにちは〜!昨日はご飯食べて帰ったら夜11時過ぎだったよ〜。今日は何にしようかな〜。」
 
と話しながらパンを選んでいる様子。お声がけすると、週に3〜4日のペースでお越しになっているようで、ここでの会話が楽しいのだと言います。お好きなパンをお聞きしたところ「全部美味しくて好き!」とのこと。
 
お客様の来店頻度は、この男性のように週何日か来られる方から、週1日、一ヶ月に1回の方など様々なのだそう。取材中にお越しになった方を見ているだけでも、ご家族連れや親子、ご夫婦、ご年配の方から学生さんまで、本当に幅広い年齢層の方がお一人で、また複数名でお越しになっていて大盛況。
 
「入学したからといってランドセルを見せに来てくれたり、転勤するからといって挨拶しに来てくれたり、一人暮らしのおばあちゃんには何かあったら連絡してもらうことになっていたりとか、おうちのわんちゃんが亡くなってしまったけれどここに来て少し気が晴れたとか、何曜日はここでお昼を買うって決めているとか、口数の少ない方が話をしてくれるようになったりとか、大きな出来事から些細な出来事まで、心のうちを伝えてくださる時が本当に嬉しくて、それが私たちの原動力になっています」


元気で気持ちの良い作り手の仕事が、お客様を笑顔にして、その笑顔で作り手が元気になる、幸せの循環が感じられるお店でした。パンの美味しさだけでなく、まるで昔から知っているかのような地元のあたたかさも楽しめます。お近くの方も、またそうでない方も近くに来られた際は、ぜひ覗いていただきたいお店です。
 

(文・写真:松尾 絵美子)

帆布かばん

 
パン リゴレ
 
〒444-0806 愛知県岡崎市緑丘2丁目10-8
TEL  0564-64-1825
IG https://www.instagram.com/pain_rigoler/  
 
open 10:00~18:00
水・木曜日定休
P3台分あり
 

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