暮らしの風景

Vol.10

自然体に過ごす家

郊外の住宅地に建つT様のお住まいは、比較的交通量の多い坂道の途中にあります。三角屋根に柔らかなベージュ色の塗り壁、ブラウン系の木部に植栽の緑がアクセントとなる外観は、ご夫婦のお気に入り。「この家に住んで、日々が穏やかになりました」と笑うT様の住まいと暮らしをご紹介します。

 
自然素材の家に住みたい
 

日本国外にも赴任されていたT様ご家族がこの地域に定住することとなり、街を知りながら家づくりを考え始めたのは2020年のこと。土地探しと並行して家づくりのパートナー探しもスタートさせ、自然素材を使った木の家が希望だったご主人は、インターネットでそれにまつわる調べ物をしていく中でナルセノイエに出会いました。

 

「最初にナルセノイエのモデルハウスを見学しましたが、お部屋に入った時の気持ちよさは忘れられません。見学をすれば当然営業トークをされると思っていましたが、拍子抜けするほどそれはなく、ありのままの自然体だったのです。最後まで私たちの話を聞いてくれたことや、大工や左官職人との信頼関係がわかる話が印象的で、信頼できました。最近は海外の職人を使うことも多いですが、ナルセさんは昔から付き合いのある職人さんと関係性を築いており、自然素材を使った家づくりをしたいと思っていた私たちにはとても魅力的でしたね。」
 
特に用事はなくとも、ほぼ日カフェに行った帰りに何度かモデルハウスを覗いて、木の家の良さやしつらえ、居心地の良さを確認したとT様は笑います


インターネットで検索した際、自然素材を扱う木の家を建てる会社が共通して使っていた「パッシブデザイン」というキーワードでナルセノイエを知ったというT様は、暮らしながら、その効果を体感していると言います。
 
「窓がさほど多くないのに、風がきちんと通るし、日中でも明るい。冬はお部屋の奥まで太陽の光が差し込んで、室内干しをしてもちゃんと乾きます」
 
全てのお部屋の壁を漆喰塗りにしたこともあり、家の中はいつでもさらりとして、以前住んでいたマンションでの”ジメジメ”や”生乾き臭”もなく、
 
「家の中の空気って、こんなに違うんだ!」と感動しているそう。

 
「私たちはあまり細かなこだわりはなく、お任せした部分が多かったのですが、漠然とした要望や想いをくみとって具現化してくれたので、満足度がとても高いです。住んで2年経ちましたが、こうすればよかったという点はひとつもなくて、ストレスがありません。シンプルな家ですが、住まうほどに設計の細やかさや心遣いを感じています」とT様。
 

外装材も自然素材を希望。塗り壁の表情や質感が気に入り、「外観を眺めるのが楽しい」のだそう。メンテナンス性もきちんと理解した上で採用したとのこと。通りからクランクする形で進むアプローチは植栽や天然石が彩り、街との緩衝材でありながら、板塀から顔を覗かせるイロハモミジが街行く人の癒しにもなっている
 

 
時に応じて使いこなせるフレキシブルな空間
 

T様邸の1F部分の多くはLDKが占めており、お風呂や脱衣室は2Fにして「できる限りLDKを広く」しています。タタミスペースやウッドデッキを備え、リビング階段と一体感のある吹き抜けが開放的なLDKは、様々な使い勝手で、ご家族の暮らしの中心にあります。
 
「息子のお友達が毎日のように遊びに来てくれて、このリビングで駆け回っています。私はヨガの講師をしているので、オンラインヨガのスタジオになったり、お友達とヨガを楽しむ場所にもなりますし、ウッドデッキでは朝ごはんを食べたり、夏はタープを張ってその下でプールを楽しんだりもします。家族が多くの時間をここで過ごしていて、息子も宿題をダイニングでしているし、将来子供部屋を使う頃になっても、この場所がくつろぐ場所として根付いたらいいなぁと思って、LDKは広さや居心地の良さを特に大切にしました」と奥様。

階段からタタミスペースのあるリビングを見る。ソファーは移動が容易なタイプのものを選び、空間の使い方に応じて配置換えをしている。見晴らしの良いこの場所は、お子様のお友達もお気に入りで、皆でのびのびと遊んでいるそう。天候の良い日は、外に続くウッドデッキも含めてくつろぎの場となる

 

タタミスペースの上部は吹き抜けになっており、風が心地よく通る

LDKの床置き家具はあまりなく、テレビも壁掛けでスッキリとした印象。ヨガをする時など人が集まる時にはソファーを移動させたり、木のボックス収納はブロックタイプにして気分や状況に応じて形を可変させたりして、フレキシブルにそして広々と使えるような工夫がなされているのも特徴的です

床置き家具が少なく、すっきりとした印象のLDK。ボックス収納が飾り棚にもなっている

テレビも壁掛けにして広々と使える板の間リビングでは、ヨガやボードゲームを楽しむ

 
忙しい日々を穏やかに過ごす
 

(写真提供:住まい手)

上の写真は、お庭の木々が朝日に照らされて、障子に映る様子をT様が撮影されたもの。
暮らしながら色々と発見があったとおっしゃるT様。特に障子がもたらす景色は想像以上だったと写真を見せてくださいました。
 
「朝日に照らされて障子に映し出された木々の影が、すごく綺麗で見惚れてしまいます。それと夜、障子越しに外に漏れる光が暖かで、そこに植栽のシルエットが添えられて、外から帰ってきた時に嬉しくなります。生活の灯りに照らされる美しさがあるのだなと、住んでみて気づきました。夕暮れ時のその景色を見たくて、綺麗に見える南側にわざわざ回り込んで帰ってくるくらいです」と笑うご夫婦。
 
「この家に住んでから、なんだか穏やかに過ごせています。忙しい毎日の中に、ホッとしたり嬉しくなったりする瞬間があるからだと思います」

2Fの窓まで届く高さのカツラは、この家のシンボルツリー。板塀や植栽の配置で、南側隣地の貸し倉庫や、交通量の多い通りからの目隠しをして、プライベート感を高めている

ご主人は出張が多いこともあり、この家での時間は思いっきり脱力するのだそう。
「ONとOFFの切り替えがうまくできるようで、この家でのくつろぎ時間が良いリフレッシュになっています。休みの日はできる限り子どもとの時間を楽しんでいるのですが、子どもが寝た後は、床にゴロゴロと転がってのんびりしています」と笑います。

肌触りの良いヒノキの床は、ゴロゴロしても気持ち良い。大工が木目を見ながら施工しているので、節も少なくスッキリしているのが印象的

お子様は一年中裸足で駆け回っていると言い、ご夫婦は一番寒い時期でも靴下で過ごしているそうで、「自然素材の木の家は、伸びやかに過ごせる印象がありました。それに子育ての観点からも、肌に触れるものは心地の良いものにしたいとも思っていました」とおっしゃるT様の暮らしのイメージが実現していました。

階段ホールの吹抜けは寝室に通じており、風通しの良い寝室の一角が、室内干しスペースの役割を果たしている。2Fにある洗濯脱衣スペースとも近いため、効率よく家事を済ますことができるのも、ストレスなく過ごせているポイントのひとつ

 
お気に入りに囲まれた暮らし
 

T様の「お気に入り」は他にもあります。
 
「キッチンのカップボードは、ナルセノイエのモデルハウスを参考にしています。そこにお気に入りの器や小物を飾っていますが、家事をするたびに目に入って心が踊ります」
 
キッチンとダイニングの間にあるカウンター収納には、ご家族の思い出と共にレコードやプレーヤーが飾られており、”木の家でレコードを聴く”憧れを実現。その上からは、陶器のペンダント照明が柔らかく空間を照らします。照明器具に雑貨屋などを巡ってご夫婦でひとつひとつ選んだものを採用しているのも特徴的で、「照明の光が綺麗、漆喰の表情が素敵、家具や小物がかわいい、等など、日常に"ルンルン”するポイントがたくさんあります。すごく気分が上がりますよ」と奥様が嬉しそうに話してくださいました。

お気に入りを飾るカップボード。多くの食器や調理器具は、扉や引き出しの中に収納されていて外からは見えない。

レコード盤の音を楽しむ

ご夫婦お気に入りの照明たち。陶器のシェードや、真鍮のソケットなどの風合いが味わい深い。ガラスシェードを通して漆喰の塗り壁に反射する陰影もトキメキポイントなのだそう

シンボルツリーのカツラの木が顔をのぞかせる2F吹き抜けの窓も開放的でお気に入り

ご主人の希望であった書斎は、ウォークインクローゼットの一角に。寝室に近いこの場所は、本が好きな息子さんの、就寝前の読書の場でもある。

日常のあちらこちらに心ときめく瞬間を見つけておられるT様ご家族。「のびのびと自然体に暮らしたくて、自然素材の木の家を建てたいと思った」と冒頭におっしゃっていたのですが、理想を現実のものとされているのが本当に嬉しく、終始笑顔でお話くださる様子を我々も楽しい気持ちで拝見しました。
T様、暮らしを見せていただき、ありがとうございました。


(写真・文:松尾 絵美子)

 


         
   T様邸DATA
   建築年 :2024年
   家族構成:ご夫婦+お子様1名
   ※取材時