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暮らしの風景

手を加えながら住みこなす
木の住まい

建築から10年の時を経て、雑木林のような豊かな庭木に包まれたアプローチが迎えるS様邸。ご夫婦とふたりのお子様がいらっしゃるS様の暮らしの風景をご紹介します。

   S様邸


         
   建築年   2012年
   取材年   2022年
   所在地   愛知県豊田市浄水町
   敷地面積  76.20坪(252㎡)
   延床面積  32.06坪(105.99㎡)
   住まい構成 ご夫婦2名+お子さま2名


 
休日の家族団欒はリビングで
 

アプローチを抜け、玄関を入ると、薪ストーブのある明るい吹抜けリビングが迎える室内。
 
アカマツの床からフラットに繋がる和室も含めた広々とした空間では、休日に自然と家族が集まり、一緒にゲームをしたり、ラジコンを組み立てたり、のんびりとした時間を過ごします。
 
冬は薪ストーブの火を眺め、夏は窓越しに目に入る庭木の緑を目にしながら、ゆったりと流れる時間。
リビングはキッチンダイニングと一体空間なので、家事をしながら団欒できる、家族の核のような場所に。

吹抜け上部には、ご主人お手製のスピーカーからBGMが流れ、まるでカフェにいるかのような雰囲気です。
 
 
 

S様邸には、もうひとつリビングがあります。
板塀やポリカーボネートの屋根、ウッドデッキ、テーブルなど、ご主人が住まいながら整えたこの空間は、モッコウバラが包み込む半屋外のリビング。
 
気候の良い時に、家族でブランチを楽しみます。
 
 
 

 
家は子供たちにとっての
社会でもある
 

S様の一日は、子どもたちの朝学習から始まります。
 
2Fの子ども部屋から降りてきて、身支度を整えた後、ダイニングの一角にあるスタディコーナーで朝学習をする子どもたち。
奥様はその様子を見ながらキッチンで朝食の支度を進め、時折アドバイスをしたり、答え合わせをしたりしてコミュニケーションを図ります。
時間にして約10分のこの時間が毎日のルーティン。
そして、学校から帰ってきた後も、宿題はここで済ませます。
 
個室ではない、家族と一緒の空間で勉強をすることで社会勉強に繋がればという思いもあります。
 
「社会に出ると、たいていは会社で大勢の中で仕事をして成果をあげる必要があるので、普段から近くに人のいる環境で勉強をすることで、将来の訓練に繋がればと期待しています。」と奥様。

 
 
 

ところでS様宅には子供部屋があります。建築当初は子供たちが小さかったので、将来間仕切ることを見据えた電気配線や設備の配置はしていたものの、がらんどうで仕上げもしていない空間でした。
 
住まいながら、子供たちの成長に合わせて床を貼り、家具を作り、今は左右対称の子供部屋が完成。自分自身に与えられた空間を整理整頓するのも、社会勉強の一環になります。

 
 
 
 

 
ご主人と奥様のお部屋
 

LDKに家族が集まることを基本としていますが、子供たちのお部屋の他に、ご主人や奥様のプライベートスペースもあります。
 
「ここはママのお部屋だよー!」と息子さんが教えてくれたのは、階段脇にある収納棚に囲まれた空間。キッチンにも近いこの空間は奥様のワークスペースで、お仕事や趣味のミシン作業をしながら、家事も効率よくこなせるよう、生活動線上に作られました。

ワークスペース横の柱には、家族の成長の証も。

 
 
 
 

ご主人のプライベートスペースは、吹抜けに面する2階ホールの一角。子どもたちが寝静まった後、こちらで電子機器の図面を描いたり、組み立てたりして、趣味の時間に没頭します。
 
個室ではないですが、程よい囲まれ感と吹き抜けの開放感も味わえる空間が、ご主人のお気に入り。

 
 
 
 

 
家族と共に育つ家
 

独身時代に、天然木やしっくいなどの自然素材と、風通しなどの自然エネルギーを活かした家の心地よさを体感していた奥様は、その後ご結婚され、本格的に家づくりを始められたとき、そのような家づくりをする工務店を検索され、ナルセコーポレーションと出会いました。
 
当時、既に他社で話が進んでいたこともあり、「モデルハウスに行ってみようよ」という奥様に対して、あまり乗り気でないご主人でしたが、モデルハウスの中に入った瞬間、それまでの新築住宅のイメージとの違いに驚いたと言います。
 
「室内に入った瞬間の空気が違いました。新建材の匂いもなかったので、びっくりしました。」とご主人。
 
それまで自然素材へのこだわりはなく、むしろお手入れが面倒な印象だったご主人は、その驚きから、自然素材の家へ関心を寄せます。
 
「以前から木を使ったものづくりに触れていたので、木の家は身近な存在でしたから、木の家や自然素材の家は面倒だろうな、と思いつつも、家族がいいと思うならば付き合ってみようと考えがシフトしました。
 
実際に住んでみると、たいした手入れはいらなかったですね(笑)。
 
冬は加湿器がいらず、夏は湿度が低くて、この家の調湿効果で心地よく過ごせます。
 
木や漆喰などの自然素材と、風通しや熱の伝わりなど、自然の仕組みを活かしているところが面白く、気に入っています。」とご主人が話すと、
 
「住みながら感じることも多くあります。この窓を開けると風が通るなぁ、とか、何時どれくらい窓を開けると気持ちいいかとか、サーキュレーターの風のあて方や、陽だまりに家族が集う様子など、自然の原理を感じます。」と楽しそうに奥様が続けます。

リビングから続く和室は、太陽高度の低い冬場、奥まで太陽の光が入って陽だまりができ、そこで日向ぼっこをするのだそう。冬の夜や夏の日中は障子を閉めて断熱をしたり、不在時の室内干しスペースにしたりと、自然力を活かした暮らし方をしているS様。

家づくりの思い出をお話されるS様。

 
 
 
 

10年の時を経て、アカマツの床が飴色になり家全体の色合いが馴染んだS様の家。ご家族は、まだまだ手を入れていく予定です。
 
今は、カーポートの一角にご主人のお籠り部屋をつくることを計画中。お仕事をしたり、趣味の時間を楽しむ場所にしたいとのことで、大きさなどを設計スタッフと相談しているところをキャッチ。
 
ご家族と共にこれからも変化し続けながら成長していくS様の住まいが、益々楽しみです。S様、暮らしの風景を見せていただき、ありがとうございました。

(⽂・写真:松尾 絵美⼦)

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